渡部里美
プラネットジアース社主
インタビュー
書き手の視点を底流に、
写真の引力を信じ、飾らない。
宝物は街にはない、と叱咤し
反撃の狼煙を叫ぶ、雑誌作りの「独裁者」
主な発行物を教えてください。
『大人組』
『THE Whisky World』
『美味しい店』
現在は、上記のシリーズのみが定期出版物で、
あとはMOOKもしくは書籍で出しております。
『大人組』最新号
知的な大人のための贅沢な時間を演出する情報誌。
関西版と東京版を作成、両者の「大人のスタイル」を比較するのも面白い。
ウィスキーのすべてがわかる専門情報誌。
編集長土屋守氏は、「世界のウイスキー・ライター5人」(ハイランド・ディスティラーズ社)に選ばれたウィスキー評論家第一人者。現在、スコッチ文化研究所代表。
リッチで素敵なライフスタイルを提案するコンテンツが並んでいます。こだわりの「スタイル」とは。
雑誌はひとりの独裁者が自分自身の好みだけで作るものだと思っています。
編集者が最初の読者。
気に入れはそれでいいし、駄目なら作り直せばいい。
妥協しないためには、写真とデザインは外注せず、自社社員でやる。
やり直しも臆せず。
残念ながら、『味人』は人に譲り、『The Beer & Pub』と『クラシズム』は休んでいます。
確かに、「写真」が魅力的ですね。
雑誌は読む前に「眺めるもの」だと思っています。
一枚の写真の引力を大事にしています。
料理写真も綺麗と美味しいは違う。
飾らないことが大切です。
カメラマンには極力三脚を使わせません。
決め込まないことが大事だから。
書き手の視点を大事にします。
誰が行っても同じような原稿は不要です。
主張していない原稿もいらない。
もっとも印象深い一冊は何でしょう。
『大人組』。
私の行きたいところ。やりたいことのみ取り上げています。
女房と二人で行くなら、が編集企画のすべてです。
それは、どのようにして生まれたのでしょうか。
土日のドライブでぶち当たった店、人、モノを紹介する気持ちから。
発掘感が大事だとおもっています。
大都会の中心部のネタは黙っていても集まります。
弊社は女性編集者でもクルマを運転できない人は雇いません。
宝物は街にはない、郊外の人知れないところにひっそりと佇んでいるものです。足で探すだけではなく、クルマで探す。
30年間やってきたことです。それを形にしただけ。
数々のコンテンツを生み出すパワーの源泉とは。
資金不足が手かせ足かせになっていますが、自分が読みたいと思ったものや、信頼できる人のお勧めで、これはぜひ出版したいというものを出すようにしています。
作品が誕生した瞬間、どのようなことを感じますか。
読者と取材対象者への思いのみ。
スタッフや執筆者のことは考える必要がない。(笑)
編集出版社を立ち上げるきっかけについて、ご教示ください。
ないものねだりです。世にない本を作る。
いくら儲かるからといって、まねをしない。
今後、どのようなブックを作りたいと考えていますか。
いろいろ有り過ぎて。(笑)
「ブックの未来」について、どのようにとらえていますか。
今は、ネットが出版を食っているように言われているし、風潮としてはそうだが、常に人には話しているのですが、たとえば河豚鍋(てっちり)や丸鍋(すっぽん)は教科書では教えてくれないでしょ。
雑誌ってのは、義務教育では学べないことを伝えているわけです。
ページを開いているうちに、半ば強制的に。
それに今は気づいていないだけ。
雑誌のない世界を想像できますか? 僕はできない。
いずれは妙に面白い、変な雑誌がもてはやされる時が来ると思いますよ。
「ブックの未来」を睨んだ出版のあるべき姿とは。
変なもの、より個人的な世界での出版が注目されるのではないですか。
「狼煙をあげよ。
雑誌屋の反撃は今から始まる。」
最後に、社としてのモットー、社主のプロフィールについて伺うと、次のような答えが返ってきました
とてもパワフル、それでいてお優しい社長のようにお見受けいたしました。
ありがとうございましした。
社名が語るように、地球上のありとあらゆるものに一応興味をしめす。
ただし、公序良俗に反しないように。
昭和26年仙台生まれ、大学探検部出身。
これが僕の原点だし、原動力。
株式会社プラネットジアーズ
本社所在地 〒531-0073 大阪市北区本庄西2-17-11 OST3F
TEL.06-6374-2805/FAX.06-6374-2942